フォークリフトは普通自動車の運転免許があれば運転できると思っている方も多いと思いますが、車の運転免許とは別物になります。また、フォークリフトの場合は免許ではなく、資格になります。フォークリフトの運転資格は、運搬可能な荷物の重量によって区分されています。フォークリフトの中でも、最大積載荷重が1トン未満の小型のフォークリフトの場合は、特別教育を受ければ運転可能となります。一方、最大積載荷重が1トン以上のフォークリフトの場合は技能講習を受ける必要があります。技能講習を修了すれば全てのフォークリフトを運転することが可能です。
フォークリフトは資格がなければ運転できない!
2種類あるフォークリフト資格
特別教育
最大荷重が1トン未満のフォークリフトを運転するためには、特別教育もしくは技能講習を修了することが義務づけられています。
フォークリフトの形状などにより定められているわけではありません。講習の内容は、フォークリフトの構造や取扱いに関する基本的な知識のほか、数時間の実技教育などで構成されています。
技能講習
最大荷重が1トン以上のフォークリフトを運転するためには、技能講習の修了が義務づけられています。こちらも特別教育同様、フォークリフトの構造や取扱いに関する知識の習得や実技で構成されていますが、特別教育と比較して所要時間が長くなっています。ちなみに、求人欄の「要フォークリフト資格」とは、基本的に「運転技能講習を修了していること」を指し示しています。前述しましたが、技能講習を修了すれば、全てのフォークリフトが運転可能となりますし、就職の際にも有利です。そのため、最初から技能講習を受けることをおすすめします。
費用はどのくらい?
受験資格 | 期間 | 学科時限 | 実技時限 | 講習料金 | テキスト | 保険料 (カード代込) |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
特別 教育 |
経験の無い方 | 2日 | 6時間 | 6時間 | 15,800円 | 1,800円 | 2,200円 |
技能 講習 |
経験の無い方 | 5日 | 11時間 | 24時間 | 41,800円 | 1,600円 | 2,200円 |
普通免許等を有する者 | 4日 | 7時間 | 24時間 | 38,800円 | 1,600円 | 2,200円 | |
フォークリフト(1トン未満)の 運転業務経験6ヶ月以上 ※要証明書 |
3日 | 11時間 | 4時間 | 21,400円 | 1,600円 | 2,200円 | |
大型特殊免許を有する者 または大型・普通免許等を有し、 フォークリフト(1トン未満)の 運転業務経験3ヶ月以上 ※要証明書 |
2日 | 7時間 | 4時間 | 16,900円 | 1,600円 | 2,200円 |
※R5.4.1現在の料金です。
フォークリフト資格取得までの流れ
フォークリフトの講習時間や内容は本人の所持免許ごとに異なりますが、それぞれ必要な講習を受けた後には学科と実技のテストが実施されます。
フォークリフト免許とは、厳密に言うと免許ではなく資格になります。講習修了後に1トン以上のフォークリフトであれば技能講習修了証が、1トン未満のフォークリフトであれば特別教育講習修了証が発行されます。そのため普通自動車免許などのように、受講した後に免許センターのような機関へ行く必要はありません。フォークリフトの講習を受けた教習所でそのままテストが実施され、学科と実技の両方を受ける事になります。そしてそのテストに合格すれば、基本的には即日修了証が発行されるという流れです。
講習スケジュール
講習日程の一例です。
日 程 | 第1日目 | 第2日目 | 第3日目 | 第4日目 | 第5日目 |
---|---|---|---|---|---|
開始時間 | 8:30 | 8:30 | 8:30 | 8:30 | 8:30 |
終了時間 | 12:30 | 16:40 | 17:40 | 17:40 | 17:40 |
講習科目 及び時間 |
学 科 | 実 技 | |||
走 行 4時間 |
取扱い知識 4時間 力学 2時間 法令 1時間 |
走行操作 20時間 作業操作 4時間 |
|||
35時間コース (免除科目なし) |
学科試験 (1時間) |
実技試験 (1時間) |
※講習は学科先行で行います。
資格取得のメリット
応募できる仕事が増える
フォークリフトの資格を取得していれば、応募できる仕事の幅が広がります。工場、物流、倉庫、運送など幅広い業界で役に立ちます。また、求人の条件としてフォークリフトの免許保持者を求めるケースも多く、取得難易度が低い割には就職に有利に働く資格といえます。
大型特殊免許があれば安く受講できる
フォークリフトの資格を取得する場合、特定の車種の運転免許を持っていれば費用を安く抑えられます。例えば、普通自動車免許を取得している場合は、運転免許が全く無い場合と比較して講習の料金が3,000円程度安く済みます。また、大型特殊免許などを持っている場合は、基本となる料金にもよりますが、1万円~2万5,000円程度の幅で安くなったりします。そのため、大型特殊免許などの取得をお考えの方は、そちらを取得してからフォークリフトの資格を取得するという流れがお得になります。
教育訓練給付制度で受講費用が還付される
フォークリフトの資格取得がお得になるケースは他にもあります。教育訓練給付金を受け取るという方法です。
教育訓練給付制度とは、労働者のキャリア形成や雇用の安定などを目的とした雇用保険の給付制度。この制度の利用が初めての方の場合は雇用保険への加入期間が1年以上、一方でこの制度で給付金を受け取ったことのある方の場合は、同保険への加入期間が3年以上であり、尚且つ前回の給付金受給から数えて3年以上を経過していなければなりません。ちなみに、気になる給付金の金額ですが、講習費用の20%と規定されています。ただでさえ費用負担の少ないフォークリフトの資格ですが、こうした制度を利用することで、さらに費用負担を軽くすることができます。
※ただし教育訓練給付制度は予めコースが決まっており、当校はフォークリフトだけのコースはありません。
公道走行には大型特殊免許が必要
フォークリフトでの公道を走るためには、フォークリフトの大きさに対応した小型特殊免許、大型特殊免許が必要です。また、公道を走るためには車両ナンバーが必須です。また、公道では荷物を積載したり、作業灯を点灯させたままの走行はできませんし、荷役作業も基本的にできません。
フォークリフト資格取得に年齢制限はあるのか、難易度は?
フォークリフト資格取得には、基本的に年齢制限がありません。そのため年配の方から、若年層まで幅広い年代の方が受講されています。高齢だと免許取得は難しいのではないかと考える人もいますが、フォークリフトは講習日数が短く、自動車免許に比べれば明らかに合格率が高いので難易度は高くありません。ほとんどの方が一発で合格されているので、取得日数が延びる事はないと
考えていいでしょう。
フォークリフトの講習を受けにくる年代は、30代や40代の働き盛りにあたる層が目立っています。しかし中には高校に在学中の16歳や17歳の若い人が、資格取得を目指して教習所に入校する場合もあります。
ただしフォークリフトを使用した業務が可能となるのは、法律で18歳以上と定められています。法律上、18歳になるよりも前にフォークリフト資格を取得しておくこと自体は可能です。ところが実際にフォークリフトを操作して業務を行うためには、18歳以上からという年齢制限が設けられています。
また、教習所によっては18歳以上でないと入校を受け付けていない所もあります。あるいは18歳未満の受講者を受け入れている教習所であっても、受講後の対応はそれぞれで異なります。講習を受け終えてから18歳になるまでは修了証を交付してもらえない教習所や、交付する修了証に18歳を超えてからはじめて有効に使用できる旨の記載をしている教習所など様々です。18歳未満の時点で入校を希望する教習所があるときは、年齢による制限があるかどうかを最初に確認しておくと良いでしょう。
外国人でもフォークリフト資格は取得できるのか
近年、日本で働く外国人は大幅に増えてきています。中には日本で資格や免許を取得して仕事に活かそうと考えている人もいるため、フォークリフト資格を選択肢の一つとする外国の方も少なくありません。
自動車免許が外国人でも取得できるように、フォークリフト資格も国籍に関わらず取得する事が可能です。ただし講習や試験はほとんどの教習所で日本語で行われています。外国人向けの講習を実施している教習所もありますが、日本語がある程度できないと入校自体を受け付けてもらえない場合もあります。自分自身の日本語のレベルが問題ないかを確認したいときには、予め入校先に問い合わせをしておけば安心だと思います。
修了証の再発行や統合はできるのか
フォークリフト等の技能講習修了証や特別教育講習修了証は、一般的な自動車免許に比べて再発行の希望をする人が多い傾向にあります。再発行が多い理由は紛失してしまった場合、どこに保管したか忘れてしまった場合の二つのパターンが考えられます。
自動車免許の場合、多くの方は普段から身分証として免許証を持ち歩いていると思います。しかし常に仕事としてフォークリフト操作に従事している人以外、フォークリフト免許の修了証を持ち歩いている人はあまり多くありません。このような人はどこに保管したか忘れてしまうようです。
修了証の再発行を希望する場合、講習を受講した教習所の窓口にて必要な手続きを行う事が可能です。ここで注意したいのが、フォークリフト資格を扱っている教習所ならばどこでも対応してもらえるという訳ではない事です。自分が講習を受けた教習所でなければ、基本的に修了証の再発行はできません。
また、フォークリフト以外の技能講習、または特別教育をいくつか取得している人の場合、複数ある修了証をひとつにまとめる事ができます。ひとつの免許につき1枚の修了証が発行されてしまっていると、その全てを管理しておくには手間がかかります。複数枚ある修了証を統合してまとめたいときにも講習を受けた教習所の窓口で手続きができます。
ただし再発行や統合の手続きには手数料がかかります。本人確認書類など、手続きのために必要となる持ち物もあるため、教習所等へ行く前に予め問い合わせをして確認しておくと良いでしょう。
更新手続きはあるの?
フォークリフトには更新手続きはありません。ただし、ブランクがあったり、安全や技術に関する新しい情報を知ったりという意味では任意の講習を行っていますので、受講することをおすすめします(受講するか否かは自由)。
講習は、最新のフォークリフトの特徴や取扱い・保守、また、災害事例及び関係法令といった内容です。一般的に、5~6年に1回は受講することをおすすめします。
フォークリフト資格が取得できる教習所
フォークリフト免許は需要が高い事もあり、講習を受けられる教習所が全国に数多くあります。栃木県の那須クレーン教習所の場合は、フォークリフトに限らず様々な技能講習や特別教育講習を実施しています。合宿で教習を受ける事もできるため、他県から入校してくる人も多いです。
那須クレーン教習所には、全車種の自動車免許を取り扱っている那須自動車学校と隣接しています。フォークリフトを公道で走らせるために必要な大型特殊の免許も那須自動車学校で取得できるため、那須クレーン教習所でフォークリフトを受けながら、大型特殊免許と同時進行で2つの免許を取得する事も可能です。